・我々の翻訳本「世界議会:21世紀の統治と民主主義」では、〇〇ismという言葉が数多く登場します。例えば、表紙に民主主義、第1章にコスモポリタニズム、第2章に啓蒙主義、議会主義、第3章に国際主義、第5章に連邦主義、世界連邦主義、第10章にボランタリズム、第11章に、市場原理主義、国家介入主義、第12章にターボ資本主義、自由主義、自由放任主義、第13章に財政連邦主義、第15章に超人間主義、第17章に国際的テロリズム、第24章に政府間主義、これらの言葉に出会うと大体は文脈から判断してこんな意味であろうとは考え付きましたが、多義であるので、翻訳に際しては苦労しました。
・手元にある岩波書店発行の「広辞苑第7版」をこれらを牽くと、おおむね、以下のとおりです。ご参考に供します。
・コスモポリタニズム:国家や民族を超越して、全人類を同胞とみなし、世界市民としての個人によって世界社会を実現しようとする思想。
・議会主義:国民・住民の代表者が議会議員に限られ、その合議体としての議会が政治運営の中心となる方式。
・民主主義:demos(人民)とkratia(権力)とを結合したもの。近世に至って市民革命を起こした欧米諸国に勃興。基本的人権・自由権・平等権・あるいは多数決原理・法治主義などがその属性であり、また、その実現が要請される。
・啓蒙主義:ヨーロッパ思想史上、17世紀末葉に起こり18世紀後半に至って全盛に達した旧弊打破の革新的な思想。人間的・自然的理性(悟性)を尊重し、宗教的権威に反対して人間的・合理的思惟の自律を唱え、正しい立法と教育を通じて人間生活の進歩・改善、幸福の増進を行うことが可能であると信じ、宗教・政治・社会・教育・経済の各方面にわたって旧慣を改め新秩序を建設しようとした。オランダ・イギリスに興り、フランス・ドイツに及び、フランス革命を思想的に準備する役割を果たした。代表者にイギリスのロック・ヒューム、フランスのモンテスキュー・ヴォルテールら百科全書家、ドイツのヴォルフ・レッシング・カントなど。
・国際主義:一般に、国家相互の協調を本位とし、世界平和を目的とする立場の総称。特に、労働者階級の国際的提携・団結を主張する社会主義の立場。
・世界連邦主義:広辞苑には、説明はありませんでしたが、「世界国家」については説明があり、「各国の主権を制限して世界全体を単一の国家に組織しようとする理想、世界連邦・世界政府とも言う、この考え方は古代から存在し、第二次世界大戦後は戦争への反省および核兵器の脅威から提唱された」とありました。
・ボランタリズム:この言葉についての説明はありませんでしたが、「ボランティア」という言葉には、「志願者、奉仕者。自ら進んで社会事業などに無償で参加する人。またその無償の社会活動とありました。
・市場原理主義:この言葉にも説明はありませんでしたが、市場原理について「市場に備わる自動調節機能」、「市場経済のメカニズム」との説明はありました。
・国家介入主義:この言葉にも説明はありませんでしたが、介入という言葉には、「問題・事件・紛争などに、本来の当事者でない者が強引にかかわること」との説明がありました。
・ターボ資本主義:この言葉にも説明はありませんでしたが、ターボという言葉には、「タービンの意」との、また資本主義という言葉には、[封建制下に現れ、産業革命によって確立した生産様式。商品生産が支配的な生産形態となっており、生産手段を所有する資本家階級が、自己の労働力以外に売るものを持たない労働者階級から労働力を商品として買い、それを使用して生産した剰余価値を手に入れる経済体制」との説明がありました。ターボ(turbo)という英語を手元の英日辞書で牽くと(くだけて ・・・おどけて パワフルな、力強い」という説明がありました。
・自由主義:近代資本主義の成立とともに、17から18世紀にあらわれた思想及び運動。封建制・専制政治に反対し、経済上では自由貿易や企業の自由を始め、すべての経済活動に対する国家の干渉を排し、政治上は政府の交替を含む自由な議会制度を主張。個人の思想・言論の自由、信教の自由を擁護し、イギリス・フランス・アメリカにおける革命の原動力となったとの説明がありました。
・自由放任主義:経済について国家による干渉・統制を排除し、個人や企業の自由な活動に任せるべきとする思想・政策。18世紀の重農学派・古典学派の主張に始まる。レッセ・フェール。との説明がありました。
・財政連邦主義:広辞苑には、この言葉の説明はなく、財政には、国または地方公共団体がその存立を維持し活動するために、必要な収入を獲得し、これを管理・経営する一切の作用」とありました。従って財政連邦主義とは、連邦を形成した場合には連邦のこの側面をしっかりと行うべしとの考え方と考えるのが適切かと思います。
原本には、上記以外にも多くの〇〇主義が登場しておりますが、以上ご参考までに列記しました。
